2016/01/25

19歳だった

 ジエン社の旗揚げ公演に私は出演している。  なんとなーく大学で授業の行なわれている教室に行きたくなくなってブラブラしていた頃、構内の掲示板に手書きの奇妙な貼り紙を見つけた。内容は一言ネタというのか、ふかわりょうのネタからポピュラーさを抜いて、短くして、暗くして、暗くして、結果的に明るい自虐(特定の個人にとってというより、文学部キャンパスに集まる人びとのうち、いくばくかにとっての自虐)になっているような感じ。でももはや一言も具体的に思い出せない。いまとなっては言葉よりも、そのチラシ自体の見かけが印象に残っている。A4の白紙に黒マジックの文字はまさに書き殴られたといった様相で、学校中にあふれるダサい印刷物をはるかに越えたダサさが輝いていた。その隣に小さな文字で演劇のワークショップをやる旨が書かれており、書かれたメールアドレスにメールを書き送り、私は学生会館の2階か3階にあった演劇練習室にいた。「役に立つようなものではない」と開催概要には書かれていたような気がする。2007年10月、19歳だった。 つづく。