2010/12/10

名付け直す

これは画面だ。今見ているのは。
たとえここに好きな人間の書いた文字が浮かんでいても、
行ったことのない国の王宮を眺めてみても、知らない女の裸が映っていても、
これは画面だ。どこへだっていける。どこにもいけない。
いま目の前に画面があって、どこにもいけない。
これはすばらしいテクノロジーである。
これは画面でしかない。私はそのことをよくわかっておく必要がある。
そうしてはじめて、別の画面を見ているあなたと共通のことばを話せる。
私たちはいま、別の画面を見ている。
これは画面だ。
共感することも声を出して笑うことも静かに涙を流すこともできる。
画面の前で、私たちはそういう風に育ってきた。画面に育てられてきた。
これは画面だ。
あなたがいま何をしているか、私は知らない。
画面はただ、私の書いた文字を映している。

そういう風にはじめてみようと思う。ちゃんと画面を使う。

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